飛騨の家具製造メーカー「株式会社シラカワ」さんへ行ってきました!

「飛騨高山」で見つけた注目のキーワードを探り、その地元でがんばる人や会社を、ひだっちが突撃取材!今回は木の国飛騨を代表する産業のひとつ「飛騨の家具」に注目しました。
日本国内には、家具の五大産地(旭川、静岡、府中、大川、飛騨)があります。
飛騨以外の土地では、タンスや鏡台といった「箱物」から家具づくりが始まったのに対して、飛騨高山は昔から、椅子などの「脚物」をつくっていました。
家具の中では難しい「脚物」を昔からつくっていたため、高い技術が今日まで受け継がれているのです。現在も飛騨高山は椅子の生産が主流で、ダイニングチェアは全国一の出荷量を誇っています。

今回は、家具づくりの現場、「株式会社シラカワ」(以降シラカワで表記)さんの高山市郊外にある本社工場へおじゃましましたよ~。
飛騨の家具製造メーカー
「株式会社シラカワ」
岐阜県高山市漆垣内町407-3
tel.0577-32-3066
http://www.shirakawa.co.jp/

ところで、「飛騨の家具」という名称が簡単には使えないことをご存知ですか?
地球環境や健康に配慮した原材料を用いていること、製品の木部加工が飛騨地域内で全て行われていること…などなど厳しい認証基準が定められていて(詳しくは飛騨木工連合会サイト 飛騨から世界へをご覧ください)、それを全てクリアした認定企業でなければ使用することができません。
2015年3月の時点で「飛騨の家具」ブランド認定企業は9社のみ。その9社のうち1社がシラカワさんなのです。

代表的な商品:【和魂】シリーズ
シラカワさんの商品一覧はこちらからご覧いただけます。
シラカワさんは、昭和46年(1971年)に製材業から家具製造業へ業種変換した、飛騨家具製造メーカーの中では比較的新しい会社。
創業時から「日本のモダン」を製品コンセプトに掲げて、【ロートレック】【ルーベンス】など、今も生産をつづけるロングセラー商品をはじめ、現在は【和魂】のように和のテイストを取り入れた商品など多様な製品をつくり続けています。
代表取締役副社長の白川智彦さんに、工場内を案内してもらいました。


まずは木材置き場。こことは別の場所に貯蔵倉庫があって、必要に応じて木材を工場に運びます。


北米には、日本の面積ほどのブナやナラなど広葉樹の植林地帯があり、伐採と植林の理想的なサイクルが保たれているのだとか。シラカワさんは創業当初から海外に目を向けて、北米から直接輸入するルートを開拓し、いち早く地球環境に配慮した家具製造を行ってきたそうです。


中にも木材がたくさん並べられていました。

製材した材を5日間ほど寝かせて水分量を均一化させた後、幅方向に接着して、無駄なくパーツをとっていきます。
材をざっくりと切るのは機械の仕事。大きな機械が工場内のあちこちに設置されていました。


「曲げ木」は、木を蒸気で蒸して曲げ、型に入れて乾燥させることで形状維持する技術。大きな材から曲線を削り出すのではなく、一枚の板を曲げるため材料に無駄がありません。
また、木の繊維が通っているので強度も優れており、曲げ木で作られた椅子の背もたれは、優雅な曲線で人の背中をやさしく包み込みます。


曲げ木行程が終了した椅子の背もたれ部分や各パーツを、今度は「治具(ジグ)」を使って繊細な加工を施していきます。
「治具」とは、加工や組み立ての際に、部品や工具の作業位置を誘導するための補助具。部材を成形する時に治具を使うことで、作業効率が上がり、設計通りの優雅で複雑な曲線も作り出すことができます。
機械でざっくりと切り出した材を、美しいフォルムに仕立てるのは人の手による作業。治具にセットしたパーツを、切削機に通して形づくっていきます。
シラカワさんでは、工夫をこらした治具を開発することで、高い品質を保った均一な仕上がりを実現させているそうです。
出来上がった部品を丁寧に組み立てていきます。
たくさんの工程を重ねることで、他では出せない絶妙な美しいラインを生み出していきます。

もちろん椅子だけでなく、テーブルやタンス、ボードなどの大型家具の製造も。
また、全商品購入から「10年間無償保証」で修理に対応。10年以降も有償で修理してくれるため、安心して家具を使い続けることができるんです。


細かい部分はやはり手作業。静かにミシンの音が響きます。
最近の主流は、メンテナンスがしやすい布地。ご家庭でも洗えるタイプが人気だそうです。
縫製室を出て事務所へ戻る途中に、完成した椅子がずらりと並んでいる場所が。




シラカワ製の家具は、高山の中心地に位置する「匠館」さんでご覧いただけます。
飛騨高山の観光・食事・お土産
「匠館」
岐阜県高山市下三之町1-22
tel.0577-36-2511
http://www.takumikan.com
そして、飛騨家具の歴史と現在を学びたい方はここがおすすめです!
飛騨・世界生活文化センター内
「ミュージアム飛騨」
岐阜県高山市千島町900-1
tel.0577-37-6111
http://www.hida-center.jp
家具づくりの現場を見学させてもらったことで、飛騨の家具の素晴らしさを改めて感じることができました。

